持続可能性への歩み > ありたい姿の実現に向けた行動
ありたい姿の実現に向けた行動
テイジン・アラミド社は、「高機能繊維製品を提供する」という当社の根源的な使命を果たすことに留まらず、現在は「すべての人にとって持続可能な未来を実現する」というより大きな目標を掲げています。この目標は、環境フットプリントを削減してアラミド繊維の持続可能性に関するイノベーションのパイオニアになるという当社の決意を反映しています。
持続可能性への歩み > 持続可能なエネルギーへの取り組み
持続可能なエネルギーへの取り組み
2021年以降、「トワロン®」の生産には、100%再生可能電力を使用しており、持続可能な環境の実現に向けた一歩を踏み出しています。その一方、再生可能熱に関する目標については、いくつかの課題に直面し、2025年の達成は難しい見込みです。
*テイジン・アラミド社が使用する高温熱を再生可能エネルギー源に転換するには多くの複雑な要素が存在することを認識し、2025年の目標はそれに応じて調整しました。
主な課題と成果
2022年末にDelfzijl(デルフザイル)工場で発生した火災によって、エネルギー効率を改善するための当社の取り組みはさまざまな課題に直面しました。いくつかの省エネルギープロジェクトを立ち上げましたが、生産レベルの低下により、製品あたりのエネルギー使用量が目標を上回ってしまいました。しかし、このような状況においても、環境フットプリントを最小限に抑えるという決意が揺るぐことはありません。
当社は、欧州エネルギー効率指令(EED)に基づいて策定した計画(2021-2024年)で定めた省エネルギープロジェクトを実施し、持続可能性と規制遵守に全力で取り組んでいます。
そして、2024年から2027年の省エネルギー対策も定めました。これらに取り組んでいくことにより、オランダのすべての工場と研究開発センターはDutch Energy Conservation Obligationを果たします。
再生可能エネルギー
特にDelfzijl(デルフザイル)工場とEmmen(エメン)工場では、バイオスチームやバイオガスなどの再生可能熱の調達においてさまざまな課題に直面しているため、2025年の再生可能熱目標を当初の40%から23%に調整しました。この変更は、当社が使用する高温熱を再生可能エネルギー源に転換するには多くの複雑な要素が存在することを表しています。
当社の再生可能エネルギー戦略(電力化)は、エネルギー属性証明(GO)付きの電力を購入することでオランダの全工場が太陽光発電や風力発電等のグリーン電力で稼働するようにしています。しかし、2023年においては調達に取り組んだものの、エネルギー属性証明(GO)付の電力購入の合意を得ることがで来ていません。
持続可能性への歩み > 現在のエネルギー効率
現在のエネルギー効率
欧州エネルギー効率指令(EED) にr基づく計画(2021-2024年)は順調に進んでおり、これまでプロセス管理の強化や、新たな技術を取り入れてきました。また、水素ネットワークや二酸化炭素回収・貯留(CCS)設備や再生可能熱源を活用する取り組みも強化しています。
この4年間に及ぶエネルギー効率計画(EEPs)を実施することで、オランダ政府のMulti-Year Energy Efficiency Agreementの履行に努めています。またEEPsの一環として、4年に一度EEDのエネルギー監査を実施し、その時点における当社のエネルギー使用量とエネルギー節約の可能性を評価しています。この監査は、EEDにおいて義務付けられています。
目標達成ならず
生産能力を直近拡張した際、省エネルギー技術にも投資をしています。しかしながら、試運転ならびに立ち上げ時の初期のエネルギー性能は、当初想定していたレベルには及びませんでした。 新たな技術を取り入れ、それを商業生産レベルで運用することは予想以上に複雑で、期待していたほどの省エネルギー効果は達成できませんでした。
2018年から2023年のエネルギー節約の状況は以下のとおりです。
Delfzijl(デルフザイル)工場
Emmen(エメン)工場
Arnhem(アーネム)工場
研究開発センター
これまで取り組んできた省エネルギープロジェクトの一部については、2024年に再評価を予定しています。
エネルギー効率に関するデータ
以下のグラフは、2005年から2023年までのDelfzijl(デルフザイル)工場、Emmen(エメン)工場およびArnhem(アーネム)工場のエネルギー効率指数(EEI)をまとめたものです。製品1トンあたりの年間総エネルギー消費量を算出し、基準年である2005年を100としています。EEIの数値が低くなるほど、エネルギー効率が向上していることになります。
全体的にこれら3工場のEEIは変動していますが、複数の省エネルギープロジェクトを通じて、2005年対比さらなるエネルギー効率の向上を目指しています。2023年現在、この結果は、実際の消費量を表す電力の変換係数を使用しており、長期にわたった比較ができるようになっております。
持続可能性への歩み > 大きな成果を挙げた2023年
大きな成果を挙げた2023年
この1年間、当社は持続可能性への取り組みにおいて目覚ましい進捗がありました。
循環型生産の規模拡大
再生可能原料を使用した「トワロン®」の工業規模での生産に初めて成功しました。これは、循環型のアラミド繊維生産の実現における大きな一歩です。
リサイクルにおけるイノベーション
メカニカルリサイクルとケミカルリサイクルの両方でリサイクル技術を進化させました。これは、当社の持続可能性への取り組みに大きく貢献します。
再生可能原料への転換
ARAMAZINGコンソーシアムを立ち上げ、再生可能原料への転換に取り組んでいます。これは、リサイクルしたアラミド繊維を原料として活用することで、ケミカルリサイクルのイノベーションと再生可能原料への転換の両方を支援するプロジェクトです。
持続可能性への歩み > 2024年、そしてその先の未来を見据えて
2024年、そしてその先の未来を見据えて
2024年度に向けて持続可能性に関するイノベーションを提供するという決意を新たにし、循環型アラミド繊維の生産におけるリーダーの地位を維持し続けていきます。主な取り組みは以下のとおりです。
持続可能な製品の開発
より持続可能なパラ系・メタ系アラミド繊維製品を開発し、市場に導入していきます。
資源効率の向上
環境への影響の軽減にさらに真摯に取り組み、より持続可能な原料とエネルギーの使用に向けた活動を継続していきます。
社会との連携の強化
当社の持続可能性に関する取り組みがさらに社会全体へ行き渡るよう、取り組んでいきます。
持続可能性への歩み > 成功のカギは、エコシステム
成功のカギは、エコシステム
当社は、戦略的パートナーシップ、サステナブルな技術への投資、そして循環性への取り組みを通じて、CO₂排出量の削減、リサイクル技術の開発、再生可能エネルギーへの転換を進めてきました。
2030年の目標は、廃棄物、有害化学物質の排出および水の使用量のさらなる削減に重点を置いています。このように持続可能性に対して包括的に取り組む中で、安全性や環境責任、法規制動向を踏まえながら、PFASからの転換などさまざまな課題に対処していきます。
PFAS規制に関するテイジン・アラミド社の現状
テイジン・アラミド社は、ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)を取り巻く規制の強化が進んでいる状況を認識しており、規制の変化を常に把握し、適用されるすべての法律を完全に遵守することに尽力しています。
一部製品にはPFASが含まれていますが、今後導入される法的要件を満たすべく細心の注意を払って懸命に取り組んでいることをステークホルダーの皆さまにお約束します。現在の技術力や実効性とのバランスを取りつつ、綿密かつ積極的にこの問題に取り組んでいます。
現在直面している非常に重要な課題はいろいろありますが、その1つは、製造工程におけるフッ素樹脂の使用です。これらの物質は、当社が事業活動を行う上で不可欠ですが、安全な代替品を探索することの必要性を認識しています。使用可能で同等の効果があると確認できたものについては、PFASフリーの代替品に置き換えていますが、すべてにおいて完全な代替品があるわけではありません。当社は、この業界において安全性、性能、環境基準を損なうことなく、そうした代替品を研究開発し、置き換えていくには十分な時間が必要であると考えています。
今後も持続可能な未来の実現に向けて取り組み続けるとともに、さまざまな規制機関や業界のパートナー、研究機関と積極的に議論を重ねることで、イノベーションを促し、PFAS関連の問題について責任を持って管理・対処していきます。